2013年09月28日
●【FBシェア】親に感謝、親を大切にする
引用:涙が止まらない
「熊本の名校長・最後の授業」
私が考える教育の究極の目的は 、
「親に感謝、親を大切にする」です。
高校生の多くは、いままで自分一人の力で生きてきたように思っている。
親が苦労して育ててくれたことを知らないんです。
これは天草東高時代から継続して行ったことですが、
このことを教えるのに一番ふさわしい機会として、
私は卒業式の日を選びました。
式の後、三年生と保護者を全員視聴覚室に集めて、
私が最後の授業をするんです。
そのためにはまず形から整えなくちゃいかんということで、
後ろに立っている保護者を生徒の席に座らせ、
生徒をその横に正座させる。
そして全員に目を瞑らせてからこう話を切り出します。
「いままで、お父さん、お母さんにいろんなことをしてもらったり、
心配をかけたりしただろう。それを思い出してみろ。
交通事故に遭って入院した者もいれば、
親子喧嘩をしたり、
こんな飯は食えんと、
お母さんの弁当に文句を言った者もおる……」
そういう話をしているうちに涙を流す者が出てきます。
「おまえたちを高校へ行かせるために、ご両親は一所懸命働いて、
その金ばたくさん使いなさったぞ。
そういうことを考えたことがあったか。
学校の先生にお世話になりましたと言う前に、まず親に感謝しろ」
そして、
「心の底から親に迷惑を掛けた、
苦労を掛けたと思う者は、
いま、お父さんお母さんが隣におられるから、その手ば握ってみろ」
と言うわけです。
すると一人、二人と繋いでいって、最後には全員が手を繋ぐ。
私はそれを確認した上で、こう声を張り上げます。
「その手がねぇ!
十八年間おまえたちを育ててきた手だ。
分かるか。
親の手をね、これまで握ったことがあったか?
おまえたちが生まれた頃は、柔らかい手をしておられた。
いま、ゴツゴツとした手をしておられるのは、
おまえたちを育てるために、大変な苦労してこられたからたい。
それを忘れるな」
その上でさらに、
「十八年間振り返って、
親に本当にすまんかった、
心から感謝すると思う者は、
いま一度強く手を握れ」
と言うと、あちこちから嗚咽が聞こえてくる。
私は 、
「よし、目を開けろ。
分かったや?
私が教えたかったのはここたい。
親に感謝、親を大切にする授業、終わり」
と言って部屋を出ていく。
振り返ると、親と子が抱き合って涙を流しているんです。
大畑誠也(九州ルーテル学院大学客員教授)
引用元:(『致知』2011年1月号 特集「盛衰の原理」)
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